ここ数年体調をくずし、さらに最近は眼の治療をしたりして、現在連載中の仕事もお休みを頂き、グズグズと日々を送っている最中に受章のお知らせを頂いたので、なんとも申し訳ないやら面映いやらで、本当にびっくりしています。 今でこそ世界中の皆さんが、年齢を問わず当たり前のように読んでくれている「漫画」ですが、私の先輩たちから現在に至る全ての漫画家が、子供の読み物と思われていた漫画を「文化」と認識してもらえるまでに育て上げてきました。 今回は、その全ての漫画家たちの創作活動に対してご評価をいただいたのだと、とても嬉しく、誇らしく思います。 そのような大切な勲章を漫画界を代表してお預かりすることには、大変なプレッシャーを感じていますが、今後日本の漫画が世界の「文化」の一翼となり、さらなる飛躍を遂げる一里塚として、謹んで承ろうと思います。 漫画は漫画家だけで作っているのではありません。 パートナーである原作者や出版社、編集者の方々。 読者の手元に届けてくれる全国の書店さんをはじめ出版業界全ての関係者の皆さんにも、心から感謝を申し上げます。 そして漫画は、発表された瞬間から読者の皆さんのものでもあります。 漫画がこれからもずっと読者にとって身近で、親しみやすい「文化」として愛され続けて欲しい、と心から願っています。 このたびは本当にありがとうございました。
漫画家 ちばてつや
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【親友 松本零士さんの訃報に接し】
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「大大陸に真赤に燃えて夕陽落ち祖国の敗戦を報る」昭和20年8月、終戦により中国大陸・満州から日本人の引揚げが始まります。祖国日本を目指す道程は熾烈を極め、途中で家族と離れ離れになる方、亡くなる方が多数出ました。
「一般社団法人 時忘れじの集い」代表の海老名香葉子さんが、そうした引揚げ者の哀しみの記憶を後世に残したいとのおもいから本書が発刊となりました。
第1部は海老名香葉子さんの親戚一家が満州から引揚げる様子を描いた「お咲ちゃん」。
第2部は自身が家族と共に満州引揚げ者の漫画家・ちばてつや氏と海老名香葉子さんの対談「地平線に沈む あの赤い太陽を忘れない」。第3部は海老名香葉子さんがちばてつや氏の体験をもとに作詞した「大大陸に陽は落ちて」の歌詞と歌手のクミコさんが歌うCDを付属。
満州引揚げ者のおもいと哀しみが詰まった書籍となりました。
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松本零士さんが高校を卒業して北九州の小倉から上京したばかりのツメエリ姿、当時19歳の彼と出会って60年以上が経ちました。
ワシもデビューした翌年の18歳。
同じマンガ家の卵、トシが近いせいもあって意気投合、本郷三丁目にあった西陽差し込む4畳半の彼の下宿にはよく遊びに行ったものです。
二人ともまだ稼ぎも少なく満足に食べられなくてね。
松本さんはよく「座布団のようなビフテキを食べたい!」なんて言いながらマンガを描いていました。
二人そろって締め切りに追われ、同じ旅館にカンヅメにされて一緒に机を並べて仕事をしたものです。
当時からワシは遅筆だったので、先に原稿を終わらせた彼に手伝ってもらうこともありました。
忙しい盛りの40歳の頃に、一緒に世界旅行にも行きました。
その時に訪れたアマゾン川やマチュピチュの遺跡などはいちばんの思い出です。
コロナ禍もあってしばらく会う機会もなく、ぼんやりと心配はしていたのですがまさか・・・言葉もありません。
ここ数年、親しいマンガ家仲間が次々と旅立って淋しい思いをしていたのに、君も逝ってしまったのか。
もう・・・体中の力が抜けていくよ。
ちばてつや
【わたしの金子みすゞ】
【あしたのお嬢 〜ゆかりの地を歩く〜】 『あしたのジョー』連載開始55周年
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